コロナ情勢が明けつつある昨今、世界中の様々な国で景気が変わってきています。日本では円安となっており、輸入をメインで行う業者にとっては痛手となっています。2022年にコロナ感染者数2位と言われたブラジルの中央銀行は、景気回復を狙い、2023年12月に政策金利を12.25%から11.75%に引き下げることを決定しました。「ブラジル経済の特徴を教えて」「ブラジル レアル 利下げによる影響は?」「今後のブラジル レアル 見通しが知りたい」「近年のレアル対日本円の値動きが知りたい」といった方に向けて、この記事では
- ブラジル経済の特徴
- ブラジルレアル通貨の利下げによる影響
- 今後のブラジルレアル通貨の見通し
- 直近10年間のレアル対日本円の値動き
について解説していきます。この記事を読むことでブラジル経済の特徴やレアル通貨の見通しについてわかります。是非、最後まで読んでみてください。
ブラジル経済の特徴
ブラジル経済の特徴として、大豆や鉄鉱石、原油などの一次産品の輸出。原料や部品を輸入して国内で製品を組み立てた工業製品などを輸出しています。主な輸出入相手国は、中国とアメリカで、他国はほぼ横ばいです。ブラジルは相手国の経済状況によって、自国の経済状況も影響を受ける国になります。ここでは、ブラジルの「輸出品目」「輸入品目」「輸出相手国」「輸入相手国」の内訳を紹介します。各データは外務省が提示している2022年のデータです。
ブラジルの輸出品目
- 大豆:13.9%
- 原油:12.7%
- 鉄鉱石:8.7%
- 石油製品:3.9%
ブラジルの輸入品目
- 石油製品:8.6%
- 原油:3.6%
- カリ肥料:3.3%
- 複合肥料:2.8%
ブラジルの輸出相手国
- 中国:26.8%
- 米国:11.2%
- アルゼンチン:4.6%
- オランダ:3.6%
- スペイン:2.9%
- チリ:2.7%
- シンガポール:2.5%
- メキシコ:2.1%
- 日本:2.0%
ブラジルの輸入相手国
- 中国:22.3%
- 米国:18.8%
- アルゼンチン:4.8%
- ドイツ:4.7%
- インド:3.2%
- ロシア:2.9%
- イタリア:2.0%
- 韓国:2.0%
- サウジアラビア:1.9%
- 日本:1.9%
ブラジルレアル通貨の利下げによる影響
2023年12月、ブラジル中央銀行は金融政策決定会合で政策金利を12.25%から11.75%に利下げすることを決定しました。これによる影響を解説していきます。
企業への影響
金利が下がることで、銀行などの金融機関は低い金利で資金を調達できるので、企業や個人への貸し出しを低金利で行うことが可能です。また、企業が市場から直接資金調達する際の金利も下がります。これにより、企業はお金の借り入れがやりやすくなり、仕入れに必要な運転資金や、工場や機械などの設備投資に必要な資金の調達が楽になります。資金を貯蓄するよりも、消費するよう企業が増えるため、経済活動が活発になり景気が上向いていきます。
投資家への影響
利下げは、海外投資家にとって魅力が下がるため、通貨の価値が下がる傾向です。貯蓄の魅力が薄れるため、投資家は資金をより高リスクな資産に移します。これにより資金が国内金融市場から海外に流出してしまい、他通貨建ての資産に移るため、その国の通貨の価値は下がっていきます。国は通貨の価値が急激に下がるのを恐れているため、少しずつ様子を見ながら利下げしていきます。
国民への影響
利下げすることで、金融機関からお金を借りやすくなることから車や住宅などを買いやすくなります。また、企業の設備投資なども活発に行われるため、その設備を動かすための人材を確保するために企業で働きやすくため、就職率が上がります。国民は働けることで生活が潤い、消費資金が増えることから景気上昇が見込まれます。利下げをやりすぎてレアル安になってしまった場合は、輸入した海外製品の値段が上がってしまうので今後の動向に注意したほうが良いでしょう。
今後のブラジルレアル通貨の見通し
ブラジル中央銀行は、インフレ率の低下など条件次第ながら、利下げすることが示されました。レアル安になる可能性が懸念されていますが、利下げに対するサプライズ戦略の可能性は低いと言われています。金融政策が反映される傾向がある2年で国債利回りはすでに低下傾向になっているからです。また、ブラジル中央銀行の姿勢が変化するリスクも心配ないと言われています。インフレ率の明確な低下など条件を確認した上での利下げになるため、控えめになりレアルへの影響は少ないものになると思われます。しかし、ブラジルのルラ大統領は利下げ支持を表明し、圧力をかけてきているため、このまま圧力が続いてしまうと更なる利下げが行われる可能性があります。極端な利下げが行われた場合、レアル安が進行するので注意しないといけません。
直近10年間のレアル対日本円の値動き
2014年から2023年まで10年間のレアル対日本円の値動きを紹介していきます。記載している円は、1レアル辺りの日本円です。一時期は20円台まで落ち込みますが、コロナ禍が明けた2023年11月では30円台を超えるなど徐々に回復を見せています。2023年12月に利下がりしているため、12月の値はもっと高くなっている可能性があります。
2014年からの10年間のレート
- 2014年:45.0436円/レアル
- 2015年:36.9557円/レアル
- 2016年:31.2477円/レアル
- 2017年:35.1580円/レアル
- 2018年:30.3785円/レアル
- 2019年:27.6813円/レアル
- 2020年:20.9180円/レアル
- 2021年:20.3672円/レアル
- 2022年:25.4912円/レアル
- 2023年:30.5936円/レアル(11月時点)
まとめ
今回は、ブラジル通貨レアルについて解説しました。最後におさらいとしてまとめます。
- ブラジル経済の特徴は、大豆や原油などの一次産業、工業製品などの輸出がメインです。中国やアメリカが主な取引相手です。
- ブラジルレアル通貨の利下げによる影響は、金利が下がることで企業にとっては借入がしやすくなり、設備投資など経済活動が活発になることで景気回復が見込まれます。投資家などは国内金融市場から海外に流出する可能性があります。
- 今後のブラジルレアル通貨の見通しは、現時点では極端なレアル安にならないが、今後利下げへの圧力で極端な利下げが行われるとレアル安になる可能性があります。
- 直近10年間のレアル対日本円の値動きは、一時期20円台まで落ち込みましたが、コロナ禍が明けた2023年11月時点では30円台を超え回復を見せつつあります。
レアル対日本円の値段が20円から30円台に上がってきていることから、このまま上昇していくかもしれません。レアル通貨の保持を検討している投資家は、今後のブラジル情勢に注目して検討しましょう。