多くの投資家が行っている「海外FX」。数ある通貨の中でも「スイスフラン」の購入を検討している人もいるのではないでしょうか。実は、スイスフランは過去に暴騰して大きな話題となった通貨でもあります。「スイスやリヒテンシュタインという国の特徴が知りたい」「スイスフランはどのような通貨なの?」「スイスフラン 円の今までの値動きや暴騰理由を教えて」「スイスフランの今後の見通しが知りたい」といった方に向けて、この記事では
- スイスの特徴
- リヒテンシュタインの特徴
- スイスフラン通貨の特徴とは
- スイスフラン 円の値動きを紹介
- スイスフラン 今後の見通し
について解説していきます。この記事を読むことでスイスフラン通貨についてわかります。是非、最後まで読んでみてください。
スイスの特徴
スイスは、アルプス山脈に位置しており、ドイツ・フランス・イタリア・オーストリア・リヒテンシュタインに囲まれている国です。アルプスのシンボルとして、スイスとイタリアの国境にある山、マッターホルンがスポットとして有名です。また、アニメ「アルプスの少女ハイジ」の舞台としても有名な所になります。
スイスの基本情報
- 面積:4.1万平方キロメートル(九州ほど)
- 人口:863万人
- 首都:ベルン
- 通貨:スイスフラン
- 言語:ドイツ語(62.1%)、フランス語(22.8%)、イタリア語(8.0%)、ロマンシュ語(0.5%)(2019年データ)
- 宗教:カトリック(35.1%)、プロテスタント(23.1%)、イスラム教(5.4%)(2019年データ)
スイスの産業
スイスの国内総生産は、金融業・貿易などの商取引・観光業などのサービス業が約73.7%。化学・製薬産業、機械・金属などの産業が25.6%、農業は0.7%(2017年データ)となっています。輸出品は、機械や化学品、農作物などです。主な輸出国はドイツ(15.2%)、アメリカ(12.3%)、中国(8.2%)となっています。輸入品は、機械や化学品に加え車や繊維などを輸入しています。主な輸入国はドイツ(20.9%)、アメリカ(7.9%)、イタリア(7.6%)です。
リヒテンシュタインの特徴
リヒテンシュタインは、スイスとオーストリアに囲まれた小国です。リヒテンシュタイン公爵家の3代目ヨハン・アダム公が1699年にシュレンベルク領を、1712年にファドーツ領を購入したところから、この国が始まりました。1719年に自治権を付与された神聖ローマ帝国でしたが、1806年に崩壊し独立を果たした国です。1868年に軍隊を廃止して以来、一貫して非武装政策を維持しています。
リヒテンシュタインの基本情報
- 面積: 160平方キロメートル(小豆島ほど)
- 人口:約39000人
- 首都:ファドーツ
- 通貨:スイスフラン
- 言語:ドイツ語
- 宗教:カトリック(約79.9%)、プロテスタント(約8.5%)、イスラム教(約5.4%)
リヒテンシュタインの産業
リヒテンシュタインの主な産業は精密機械や牧畜、医療機器です。他にも観光業などのサービス業もあります。また、印刷技術が優れていることから、切手のデザイン性が高いため多くのコレクターが注目し、国の重要な収入源となっています。輸出先の国は、スイス(15.7%)、EU(62.6%)です。
スイスフラン通貨の特徴とは
スイスフラン通貨の特徴を紹介します。
安全資産と言われている
スイスは第二次世界大戦にも参加せず、過去50年間戦争に関わっていない歴史を持っていることから永世中立国と言われています。そのため、世界情勢に巻き込まれにくい安全資産と言われています。地域紛争やテロなどが起こった際に購入されることが多い通貨です。また、国際通貨基金(IMF)の特別引出権(SDR)に採用されており、世界から信頼が高い国際通貨と言われています。
取引量が多い
スイスフランは欧州連合ユーロ、イギリスポンドに次いで取引量が多い通貨と言われています。スイスの政策金利が0%と、非常に低金利の通貨であるため大きな値動きが起きにくい通貨です。
EUの影響で値動きすることも
スイスフランは価値の変動が少ないことからリスクヘッジとして買われることが多い通貨です。そのためEUに属する国の経済状況が悪化した時に、スイスフランは世界中の投資家が注目し、売買される可能性があります。
スイスフラン 円の値動きを紹介
スイスフランの過去10年の値動きと、過去に起きた暴騰理由について解説します。
スイスフラン 2000年から現在までの値動き
2000 | 2001 | 2002 | 2003 | 2004 | 2005 | 2006 | 2007 | 2008 | 2009 |
63.8696 | 72.0583 | 80.5312 | 86.0913 | 87.0611 | 88.5186 | 92.7950 | 98.1086 | 95.7817 | 86.1049 |
2010 | 2011 | 2012 | 2013 | 2014 | 2015 | 2016 | 2017 | 2018 | 2019 |
84.2179 | 90.1042 | 85.1530 | 105.3392 | 115.5846 | 125.8413 | 110.3736 | 113.9283 | 112.9377 | 109.6909 |
2020 | 2021 | 2022 | 2023 | ||||||
113.7868 | 120.0905 | 137.5794 | 156.4563 |
スイスフランの暴騰:スイスフランショック
2015年、スイスは突然金融政策を変更した影響でスイスフランが暴騰し、外国為替市場が大混乱に陥りました。その金融政策とは、スイス中央銀行が発表したユーロスイスフランの上限廃止です。2015年までの3年間、スイス中央銀行は1ユーロ=1.20フラン付近になるとユーロ買い・フラン売りの介入が行われていました。そのため、ユーロスイスフランの上限が1ユーロ=1.20フランと言われていたが、その無制限介入をやめるとスイス中央銀行が発表。これにより、スイスフランに対しての買い注文が殺到し、わずか20分の間で世界中の通貨が暴落し、スイスフランが暴騰しました。これにより多数の破産者を出したと言われています。
スイスフランの暴騰:ウクライナ侵攻による予想外の利上げ
2022年よりロシアのウクライナ侵攻が大きなショックを起こし、多くの国がロシアへの経済政策を実施。これによりロシアからのエネルギー資源供給が滞るとの見方でエネルギー資源が高騰し、各国のインフレ率が押し上げられました。2022年6月、スイス中央銀行は2007年9月以降の約15年ぶりに利上げを決定。マイナス0.75%の政策金利を翌日からマイナス0.25%に一気に引き上げました。これによりスイスフラン円は一時143円76銭と暴騰。2023年では引き続き利上げし、6月には1.75%まで引き上げられています。日本の円安も下支えとなり、164円近くまで最高値を更新しています。
スイスフラン 今後の見通し
スイスフランの2024年の見通しについて紹介します。
金利差が小さくなる可能性
2024年1月の記事によると、スイス中央銀行のジョルダン総裁は、インタビューにて「最新のインフレ予測からみて追加利上げは必要ない」と語っています。また、日銀は2024年4月にマイナス金利政策を解除すると予想されています。これによりスイスフランと円の金利差が小さくなるため、スイスフラン円は下がるのではないかと予想できます。
アメリカ大統領選による影響
アメリカ大統領選により、スイスフラン買いが進み価格が上昇する可能性もあります。現在、アメリカ大統領選ではトランプ元大統領が再立候補することで話題になっています。もしトランプが再度大統領になった場合に、バイデン政権時の政策を覆す可能性が高く、金融市場に大きな混乱を招く可能性があります。また、バイデン大統領も高齢で再び候補者として立場を保てるかは不明確です。このような不安定な状態から、安定しているスイスフラン買いが進み、価格が上昇する可能性が予想できます。
まとめ
今回は、スイスフラン通貨について解説しました。2022年から価格上昇しているスイスフランですが、2024年はどちらに転ぶかわかりません。日銀の金利政策やアメリカ大統領選の動向を見て、検討すると良いでしょう。